無名鬼日録

読書にまつわる話を中心に、時事的な話題や身辺雑記など。

森田童子の死

森田童子が亡くなった。

二〇十八年四月二十四日、享年六十五歳。

彼女のベストワンは何かと問われれば、

私はやはり「ラスト・ワルツ」をあげる。

 

「ラスト・ワルツ」

 

美しき明日に ついても語れず

ただあなたと しばし この時よ

すべてが なつかしき この時よ

すべてが終る この夜に

せめて 最後に ラスト・ワルツ

 

この暗き部屋の 窓から

街の灯は まばゆく 自由が 見える

すべてが 遠き この時よ

このまま 若い日が 終るのなら

せめて 最後に ラスト・ワルツ

 

un  deux  trois

un  deux  trois

un  deux  trois

un  deux  trois

 

美しき明日に ついても語れず

ただあなたと un  deux  trois

すべてが帰らぬ un  deux  trois

すべてが終る un  deux  trois

 

un deux trois

un deux trois

un deux trois

un deux trois

un deux trois

un deux trois

 

「un deux trois」のリフレインを耳にすると、

私は大学時代の、たった一人の女友達を思いだす。

抑揚のついた彼女の「un deux trois」は、

デモのホイッスルやシュプレヒコールとは

相容れないものだったが、

深夜の自治会室で口ずさまれた天使の声だった。

合掌